DAW が使えるようになるコツは、まずなんでもいいからとにかく1曲作ってみること。
ずいぶん前にインストールしたままになっていた Cakewalk by Bandlab をちょっと前にさわってみようとしました。そのときいちばんこまったのが、まず最初にどうすればいいのかわからないということでした。
すごいクオリティのサウンドが簡単にクリエイトできる。しかも無料。というイメージだったのでなにから始めればいいのかわからない状態になるとはおもってもみなかったのですが、まあとほうにくれました。
初めてでもなぜかいきなりつかいかたがわかっている道具はトンカチのようなシンプルなものなので、まああたりまえのことではあるとおもいます。
最初は音を出すだけでも大変(な思い)だった
インストール直後に最初から入っているサンプルプロジェクトを開いておもむろに再生ボタンを押してみる。しかし音がでない。ウンともスンともいわない。
古いパソコンでは使えないんだなとあきらめそうになりましたが、いちど起動しなおしたら音がでるようになったということがありました。
たぶん Cakewalk by Bandlab は起動するときに設定を読み込んでいるのだと思います。
後日ちょっとなれてきたころ、無料音源を追加してみたときもそのまますぐには反映されませんでしたが、あわてず起動しなおして無事選択できるようになりました。
なれてくるとなんとなくわかってくるのはなんでもそうだとおもいます。やはりはじめがいちばん大変です。なにがわからないかがわかりません。
しょうがないので「Cakewalk つかいかた」みたいな感じで検索します。youtube に入門講座を開いている人がいました。いい時代です。
DAW にかぎらず、やりたいことさえわかっていればもうなんでもできるとおもいます。
操作方法のような大基本は詳しい人に教えてもらうのが一番早い
ぼくはこのシリーズに助けてもらいました。
操作手順のイメージはこれでなんとなくつかめました。実際に自分でやってみるとき、そういえばあの動画でこれについて何かおいしいことをいっていたな、というのが思い出されてくるので、ずいぶん助かりました。DAW LESSONの鈴木さん、ありがとうございます。
特に最初期のころ、どこがマウス操作できるところなのかもわからないときに、つまみのところで上下にドラッグすると調節できるとか、ピアノロールの開き方とそこで覚えておくといい便利なマウス操作とか、そういう基本操作がサクッとインプットできたのがよかったです。
基本操作って、これができないと話にならないのにこれまでのPC操作とは異質な操作ですし、たぶんDAW独特のお作法なので、自分で適当にいじって発見していこうとしても無駄に長時間かかってしまって、その間ずっと不便で面倒なやり方を強いられるのがつらいんですよね。
実際の進め方もやっぱり詳しい人に教えてもらうのが一番早い。
これで操作方法に困っても検索ワードすらわからないという状態からは脱出できたので、あとは実際に使っていくだけということになります。なるんですが、ドラム、ベース、ほかの楽器の音、ボーカル、コーラスというような順番で録っていって、そのあとそれぞれのバランスとるんだろうな、というくらいのイメージしかありません。
でもどうせならカセット MTR とは違うアプローチ、というか、PC 上の DAW ならではのやりかたをねらってみたいとおもって、そういうときにどんぴしゃで参考になったのがこちらのシリーズでした。
SONAR初見勢による「Cakewalk by BandLab」での曲作り Part.1 まずは録音してみる - きになるおもちゃ -ギター・エフェクター・アンプ・DTM関連の情報サイト-
これを読むと自由度が高くてほんとにいろんなことができるんだなということがよくわかります。
昔だったら同じことをやろうとするとすごくお金がかかったことでしょう。
便利になればなるほど本質勝負になっていくとおもうのですが、不便だったときのほうがときどき想像を超えるものすごいものが出てきていたような気がするのは自分が老害化しているということでしょうか。
今もものすごいものが続々でてきているのにそれに気づいていないだけ? たとえば Cakewalk by Bandlab が無料でつかえるのもそういうことかもしれません。
カセット MTR との違いがわかったところで実際に音を入れていってみると、そこでまたあれ? とおもうようなことが続出です。
たとえばギターをいれてみたのですが録った演奏がド下手なのです。
ギター演奏を録音してみたらド下手なんですけど(「レイテンシ」のほんとの意味と対処法を知る)
録音するとき、普通はほかの伴奏と自分の出している音を同時にききながらぴったり息の合った演奏をしようと頑張ります。
DAW の場合は録音する演奏の出力が遅れてしまう「レイテンシ」という現象があるということで、それはさきほどの youtube のシリーズを見て知っていました。
レイテンシがある状態ではまともな演奏ができない
インプットからはいる信号が DAW 内のいろいろな経路をとおって最終的にアウトプットからでてくるので、DAW 内の処理が重ければ重いほどレイテンシも大きくなっていくわけです。
なるべく完成に近い状態の音をききながら録音できたほうが演奏にも気合いがはいっていいのですが、音を作り込めば作り込むほどでてくる音もどんどん遅れていってやまびこみたいになっていってしまいます。
しかもやまびこだったら最初に発している音と返ってきている音の両方が聞こえるのでジャストのタイミングが把握ができないこともないかもしれないのですが、DAW でのギター録音の場合、やまびこでいう返りの音だけをたよりに演奏することになってしまうので、タイミングを補正しようとどんどん前のめりになっていってしまいます。
そして自分の体感と音のシンクロ感がなくなり自分で演奏している手応えもゼロになります。
極端なことをいえば誰かが演奏している音に合わせて手を動かしてみているだけのような感覚です。自分の音ではありません。
DAW のギター演奏は原音で録音するのが定石
DAW の場合は生音を録っておいて後からアンプシミュレータなりエフェクターなりで加工していくのが定石ということなので、というか録音するときもいろいろ加工しているのは生音を出力用に加工しているだけでとっている音そのものは生音なので、それなら気合の入りやすさは無視してなにも加工せず、なるべくレイテンシが増えないように FX はバイパスすることにしました。
Cakewalk 自体の設定も、検索してレイテンシが最小になるようにしました。
しかしうちにある貧弱な機材スペックではどんなにレイテンシを短くしてもまともに演奏できないレベルでした。
原音そのままダイレクトモニタリングでレイテンシが 0 に
なんとかレイテンシなしでモニタリングしながら録音する方法はないかとまた検索してみますと、ギターとパソコンの間につないでいるオーディオインターフェースのダイレクトモニタリングいう機能でできることがわかりました。
そこをとおっている信号をそのまま聴くことができるので遅れを感じません。
ボリュームしかついてないアンプのような感覚です。
これなら自分の演奏をしっかり聴きながら録音することができるので余計な神経をつかうことなく演奏そのものに集中できます。
生音しかきこえませんがそこは出音を脳内補完して気合を入れて録音しました。
ダイレクトモニタリングで録った演奏がド下手
これでやっと息の合った演奏が録れたと思いましたが、再生してみると上のほうでいったように下手クソなのです。
ショックでした。
リズムをあわせられるようにして録音したはずなのにリズムが全然あってません。
現役をはなれてかなりの時間があいているせいでうでが落ちてしまった?
TAB 譜つきのチュートリアル的カバー演奏動画を youtube にアップしようと思ってたのですが、こんなにひどい演奏ではとても公開なんてできません。
せっかく録音と同時にスマホ撮影もしていたのに準備した意味なかったなとおもいながら、いちおう撮影した映像のほうもみてみたらそこまで悪いリズムではありません。
ここであらためてレイテンシについて検索しました。
レイテンシとは。そしてレイテンシの補正について。
まず音が出入りするときはぜったいに処理が入って遅れがでるものだそうです。
MIDI の打ち込みの場合は遅れを計算してジャストになるよう自動で補正されて遅れがないように見えるだけということのようです。
ところがオーディオ信号の場合はそのときの環境や状況によって遅れ具合が違うので自動補正ははいってなくて、一度録音して遅れを計測し、把握した遅れ幅だけ前に補正して録音されるよう設定するといいということがドキュメントに書いてありました。
Cakewalk - SONAR Documentation - オーディオ > 同期とキャッシュ(詳細表示)
Cakewalk のメトロノームを鳴らしてそれを録音し、メトロノームをならしながら再生して録音したメトロノームの音との時間差を計測して
[編集] -> [環境設定] -> [オーディオ] -> [同期とキャッシュ] -> [録音レイテンシ調節(サンプル)]
の「オフセット」のところにずらす時間を入れればできるはず。
はずなのですが、結局トラックのところに表示されている波形では1msec単位のズレが把握できず(どこから音が始まっているのかがよくわからない)、これくらいだろうとあたりをつけたオフセット時間で再生してみると曲の途中から微妙なズレの蓄積があきらかになってきます。
結局最適な入力値は試行錯誤しながら決めていく感じで、自分の演奏をチェックしたいだけなのに結構な手間がかかってしまうのがかなり厳しいです。
いろいろやっているさいちゅうもう面倒になり、おもいきって先頭の無音の部分を削除してクリップを手動ドラッグで開始時点にもっていったらスナップ機能のおかげで一発でだいたいいい感じになりました。
毎回計測してオフセット値を試行錯誤するよりもシンプルだし手数が少ないし直感的な操作で簡単にだいたいぴったりになるしとりあえず録音チェックしたいだけなので今後はもうこれでいいやと。
そんなこんながありましたがいちおう形に
ほかにもいろいろこまかいところでいちいちつまずいて、そのたびに検索しながらなんとか進めて、いちおう形になるところまでもっていけました。
短いシンプルな曲ですが自分で形にしようとすると結構いろいろ知らないこと、わからないことだらけでした。でもだんだんわかるようになってくるのはほんと楽しいですね。この調子でどんどん楽しんでいこうともいます。