成功するために必要なこと。それは準備を最低限にすること
いつも準備不足でものごとがうまくいってないと思いがちです。しかし本当にそうでしょうか。
うまくいくことが予想通りにいくことだとしたら、準備を万端にすればできないことなどありません。
しかし体感ではうまくいかないことのほうが多い。これを簡単に準備不足のせいにしてはいけません。
現実が想像と違っていたとか、そもそも方向を間違えていたとか、予想通りにいったけどうまくなかったとか…… これらは準備を万全にしようとするときに引き起こされる創造力の矮小化が一因です。
自分にできる限りの、最高の可能性を現実のものとするには、準備をしすぎないことが重要なのです。
準備をするよりも実践したほうがうまくいく
親指シフトは実戦投入してから上達スピードが上がった
事前に仕事に支障がないようになっといて、そうなってから全面的に親指シフトに移行しようと思って、1日に数十分だけ練習したりしてましたが、全然できるようになりそうにないので、いっときあきらめようとしてました。
今ではローマ字よりも速くタイピングできるようになっています。 なぜなら練習をやめたから。練習するのをやめて、完全に普段のタイピングを親指シフトにしたからです。
練習をしている、ということは練習している時間以外はローマ字入力していたわけですが、これが良くない。脳は繰り返し使う神経細胞の経路をとっておいて、使わない経路を勝手にどんどん整理していきます。
この機能のおかげで、最初は手に汗握りながら運転していたような人も、毎日運転しているうちに会話を楽しみながら運転できるようになります。
最初にローマ字入力からスタートした僕が親指シフト入力をちょっと練習するといっても、普段の入力をローマ字でやっている以上、繰り返し使う入力用の神経はローマ字のものです。これまでどおりローマ字用の神経を強化し続けていることになっていたわけです。これではなかなか思うように上達しないのは当たり前です。
普段ずっとアイスホッケーの練習に明け暮れている人が、たまに気が向いたときだけフィギュアスケートの練習をしているからといってフィギュアの選手になれないのと同じで、親指シフト入力がしたいのなら、自分をそればかりしなければならない環境においてしまうのがいいのです。
夏休みや冬休みのまとまった休暇期間に始めるといいという話が多いのはこういうわけです。ただ、人間追い詰められるとすごい。僕はそんな機会がくるのをまっていることはできなかったので、いつもの仕事をしながら練習を開始し、時期尚早気味に実践投入して、親指シフターになることができました。
準備ではなく実践するから気づくことがある
そして現在はもっと快適な入力をもとめて新JIS配列を使いはじめたところです。
1文字1動作で入力できる親指シフトでの入力が新鮮で、しばらくのあいだとても楽しく入力できていました。
しかし習熟が進むにつれて打ちやすい文字列と打ちにくい文字列のギャップが気になるようになってきました。これはローマ字入力にはないところでした。
また仕組み上しかたないのですが、親指キーと文字キーの同時打鍵判定があるので、入力速度があがるほど入力が難しくなっていくという問題がありました。
具体的な内容は『親指シフトで高速入力するためには意識的な練習が必要になるっぽい』をどうぞ。
この問題は同時に打鍵する配列に共通なので、同時打鍵系の配列には「丁寧なタイピングが身につくメリット」がある、と言ってもいいかもしれません。
準備したものを有効利用しようとすると最適なアプローチが選択肢からはずされる
ともだちがキックボクシングのコーチに「パンチに必要な筋肉はパンチを打つことでしかつかない」というアドバイスをもらっていました。
脇の下の背中側、腕との境目あたりにある小さな筋肉が強いパンチのために必要なんだそうです。
大きな部分をしめる筋肉をより大きくする筋トレは難しくありません。しかし、小さな筋肉をピンポイントで鍛えるのは難しいです。
それどころか、筋トレで下手に力がついてしまうと、それに頼ってしまって、正しいコツから遠ざかってしまうことになってしまうのです。
スポーツ選手が故障するのは理想的な体の使い方ができていないからです。400勝投手の金田さんも、最近の選手は投球のときに軸足で壁を作らずに力で投げてるから壊れるんだ、といってました。これもコツではなくパワーでねじ伏せようという姿勢のことをいっています。
成功への第一歩は自分事になった瞬間
脳に備わる機能を利用した効率のいい勉強法――勉強する前に本番同様の試験をする
勉強を始める前に事前テストをすることで、これから自分が直面することを、想像ではなく経験として把握できます。脳は経験したものを現実とみなします。現実世界に必要なもので自分にかけているものがあったら全力で自分のものにしようとします。
この機能があるおかげで人類は今日まで生き延びることができたといえます。自然に備わっている本能的な機能を利用するので抜群の効果を発揮します。僕の場合、テストなしの勉強とくらべると半分以下の時間で頭に入りました。
詳細は『脳が認める勉強法』に記載されています。ほかにも、こんな簡単なことでそんなに効果があるのか! というような、目からウロコの学習法がいくつものっています。
ピアノコンクールで1ステージごとに演者の演奏が進歩する現象
知り合いのピアノ講師のかたが、こう言ってました。
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』に書いてある、ステージに立つたびに演者の進歩が加速するという内容は、本当にそうなんですよ
「最高」のイメージが瞬間ごとに更新されることで、可能性がひろがります。どこかで自分と本当には関係ないと思っていたコンクールの舞台が、聴衆も含めて自分とひと続きの世界となることで、それまでの自分の殻を超越した演奏ができるのです。
何かの雑誌で海外ミュージシャン曰く「最高の練習はステージだ」と
申し訳ございませんが、これはいつか本屋で立ち読みしていたときに「ふーん」と思ったもので、たぶん『JAZZ LIFE』か、『ギター・マガジン』あたりだと思います。誰の言葉だったかも今となってはよくわからないのですが、即興演奏でご飯を食べている年配でベテランの海外男性プレイヤーでした。
楽屋でできたからってステージでもできるとは限らないし、練習を見せられたってつまらないだろ?
ステージで一切ごまかし無しに切り開くプレイが客を湧かせるし、その経験が血肉になるんだ。
こういう内容だったと思います。読んだ当時は、すでに人前で上手に演奏できる人ならかっこいいこといえるし「いつもたっぷり練習してるからなんとか演奏生活を続けられているよ」なんてこといえるはずないよね、くらいにしか思いませんでした。
このアーティストの言葉がブログ記事の内容とつながって急に理解できたから思い出されたのでしょう。今は「お客さんにとどけるのは練習ではなく生身の自分なんだ、人を動かすものは再現ではなく創造なんだ」と理解しています。
まとめ。どこかに到達するたびに景色が変わる。すると準備は準備でなくなる
ここまで以下について述べてきました。
- 準備をするよりも実践したほうがうまくいく
- 準備したものを有効利用しようとすると最適なアプローチが選択肢からはずされる
- 自分事になった瞬間が成功への第一歩
ものすごく簡単にひとことでいってしまうと、インプットよりアウトプットを大事にしよう、ということになります。つまり自分のアタマで考えて実際にやってみるということですね。
もちろん、知らないことが罪になるようなことは事前に知っておく必要がありますし、だれかにイヤな思いをさせるようなことはすべきではありません。
そうでなければ、準備を考えるよりも先にまずやってみる、これが新しい景色を見るコツです。