結局一番効率がいいのは準備なしにいきなりやってみること。しかもそうすることがオリジナリティを生み出す
リーンスタートアップでもアジャイル開発でも、まずはとにかくやってみて結果を検証して気づいたことをもとにまたやってみて検証して……ということを高速に繰り返します。
素早く小刻みにステップを踏んでいっているうちに、事前の検証では想定できない高みにまでたどり着けるところが魅力で、少し前に一世を風靡しました。
科学も歴史もトライ・アンド・エラーの繰り返し
考えてみれば科学の進歩とか国の歴史とかもトライ・アンド・エラーの繰り返しです。
事前に周到な準備をしたからといって必ずうまくいくとは限りませんし、ドタバタの中から偶然うまれたものでものちのちまで影響する偉大な結果につながることもあります。明治政府なんかがそうですよね。
ひとりの人間にできることはたかが知れていますし、現実は想定よりもパラメータが多いので、事前に準備をするといっても簡単に準備しつくせるものではありません。
準備をするほどうまくいくとはいえない現実
もちろんうまくいくことを願ってどうしたらうまくいくか一生懸命考えますし、そういった姿勢なしにうまくいきっこないにきまってますので、準備をするのは絶対に必要ですが、準備をすればするほどそれだけうまくいくものだと単純にいうことができないのです。
成功事例を集めることもその一つです。これはどこかでだれかがかつて実際にやってみてうまくいったことを分析して、自分の今後の計画にフィットしそうなことろを取り込もうという作戦です。
それはうまくいったことばかりですし、それぞれの事例がなぜうまくいったのかが理解できたと思ったうえに、自分の現状もしっかり把握できていた場合は成功できそうな気になってきます。
自分の強みにフィットするチャンスがたくさん転がっていそうなフィールドをすでにいくつもピックアップできていたりしたときなんかはもう、成功は目前だ! という気分になってしまいがちですが、だれかがうまくいったやりかたをなぞっても状況がちがうのでうまくいくとはかぎりません。むしろうまくいかないことのほうが多いでしょう。
うまくいった本人でも一度うまくいったからといって、次からも同じことを続けていこうとしてもまったく同じことを繰り返すことはできませんし、無理に繰り返してもうまくいきません。いつも少しずつ状況が違うからです。
同じことの繰り返しが許されるのはブルースと時代劇と寅さんだけです。
わからないことを推測して準備するのではなく、わかることを素早く増やしていく
なにかをやってみようというときは、そもそもわからないことのほうが多いのだから、準備に時間とエネルギーを使うよりも、まずやってみて手応えを感じてみることが一番大事です。
効果的な時間とエネルギーの使い方、つまり準備なり、練習なり、貯金なり、投資なりといったものは、何をするかによって必要になってくるものが違ってくるのはもちろんですが、それよりも一度実際にやってみて必要性を感じたものは憶測ではないので必ず効果があるというのが大きいです。
本当に必要なものは必要になるまでわからないし、その必要を感じるのがそもそもオリジナルのセンス
自分が感じた手応えから浮かびあがってきた必要性です。同じことを考えている人はいません。手応えをもとに準備すること自体がすでにオリジナルのアプローチになっているのです。
なぜなら同じものを見ても人は違った感じ方をするからです。たとえ同じようなことを考えたとしてもそこから導き出される行動は人によって違ってくるからです。似たようなことをそうとわかっていながら平気でしている人は損得しか考えていないのです。
(なんか自分でいっておきながら耳がいたいのはなぜだろう)
本当に必要なものは必要としていないときにはイメージできないですし存在すら認識できないので、たとえば筋肉の発達のようなフィジカルなことでも明確な違いがでます。
僕の友だちはキックボクシングのジムに通ってました。通いはじめのころにパンチの打ち方を説明していたトレーナーの方がこう言っていたそうです。
パンチに本当に必要な筋肉はパンチを打つことでしか鍛えられない。
僕らは損することをおそれすぎて準備にばかり時間とエネルギーを使ってしまっているせいで、見当違いの無駄なことばかりしてしまっているのではないでしょうか?
こどもは無駄なことを一切せずに、大人からみると必要と思われるものまで端折ってしまうぐらいまっすぐに核心に向かいます。だからオリジナルだし、アーティストだし、ものすごい勢いで成長します。
子どもの成長スピードについては成果をあげつつ成長する方法は無駄に考えないことにも書きました。
好きなものぐらい何も考えずに思ったまんまなんにも躊躇することなくのめり込みたいものです。どこまでも遠くへいって、そこから何が見えるのか見てみたいものです。常識人になろう、大人な態度であろうとしすぎなければできるかも知れません。
だから準備として必要なのは、繰り返し試しても支障がない、挑戦を持続可能なものにする環境を用意することです。
これがないと切羽詰まって方向性がおかしくなります。人生とおなじことです。
何をしたいのか、何に時間を使うことを選ぶのか。これがオリジナリティの源泉です。